皮膚科診療

担当獣医師 五十嵐 里菜
犬猫の皮膚病では、患者さんはもちろん、そのご家族が悩み苦しむ姿を見ることが良くあります。
皮膚病で苦しむ子を助けてあげたいのはもちろんですが、その子と一緒に生活をしているご家族の負担を軽くしてあげたいという気持ちから、皮膚科に力を入れるようになりました。
治療にはご家族の協力が必要です。
一緒に無理のない治療法を考えていきましょう。
皮膚科では、まずご家族のお話をよく聞くところからスタートします。
- 今までの経過
- お食事
- シャンプー
- お散歩の経路
- その子の性格
などなど…..
愛犬・愛猫ちゃんの全てを教えてください。
それが最善の治療へとつながるはずです。
初診時の皮膚科診察の流れ
- 当院は予約制です。
診察前のシャンプーはお控えください。皮膚症状の原因を追及できなくなる可能性があります。
お持ちいただくもの
- 今までの通院記録や検査結果、処方箋
- 現在あげているフードの種類の控え
- おやつなど食べているもの全ての種類の控え
- シャンプー剤の種類の控え
- カルテ・問診票の記入
- 問診票は一般診療用と皮膚科診療用の2枚ご記入ください
- 診察開始
- 生活環境や今のお悩み、皮膚の状態などオーナー様と一緒にチェックしていきます。
- 必要な検査の説明・検査の実施
- 検査はすべてオーナー様の前で行います。
- 検査結果の説明
- 今後の治療方針の相談
- ご家族編成や飼育環境を考慮し、その子にあった最善の治療を考えていきます。
治療の中で使いたくない薬剤(ステロイドなど)があれば遠慮なく言ってください。お薬のメリット・デメリットをご説明した後、どの薬剤を使っていくかを相談いたします。
- お薬の説明
- 処方する内服薬・外用薬・シャンプーなどの飲ませ方や
つけ方、副作用などについてご説明いたします。
- 診察終了
皮膚科検査
獣医皮膚科の診断では、問診と身体検査で病気を予測し、その診断を裏付けるために必要な検査を行います。
確定診断し、治療に進むことで最適な治療法を提示することが出来ます。(特殊な検査でないと確定診断が出来ない場合もあります。その場合、診断名が出るまで数日かかる場合もあります。)
また、再診時には治療経過を評価するために皮膚検査を行います。
テープストリッピング

マラセチア
皮膚表面にいる病原体を特殊な染色液で染色し、顕微鏡で確認します。
細菌の増殖やマラセチアを確認することが出来ます。
膿皮症等の場合は治療効果の判定のために、期間をあけて数回繰り返して検査を行います。
スクレーピング

ニキビダニ
皮膚検査専用の器具で、皮膚を軽く削ります。
眼には見えないダニなどの外部寄生虫を検出することが出来ます。
毛穴の奥に入ってしまったダニなどは1カ所では見つからないこともあるため、体の数カ所でこの検査を行うこともあります。
被毛検査
毛を根元から数本抜いて顕微鏡で観察します。
毛周期を確認することで脱毛の原因を探索したり、外部寄生虫が毛と一緒に検出出来ることもあります。
また、被毛の真菌(カビ)感染を評価することも出来ます。
針生検
おできなどの盛り上がった病変に注射針を刺して吸引し、その内容物を染色し、顕微鏡で観察します。
感染所見の評価や腫瘍を見つけることも出来ます。
真菌培養、遺伝子検査

皮膚糸状菌
真菌(カビ)が疑わしい場合は被毛をサンプリングし、真菌培養を行い
答え合わせをします。
真菌培養は通常2週間程度結果が出るまでかかるため、被毛からの遺伝子検査にて診断することも出来ます。その場合、約3日で検査結果を報告できます。
(真菌培養検査、遺伝子検査は外部検査機関での委託検査になります)
アレルギー検査
環境アレルギーや食物アレルギーが疑われる場合に行う検査です。
血液を採取し、アレルゲンを特定します。
検査を行うタイミングが重要になるため、オーナー様と相談し血液を採取する時期を決定していきます。
皮膚病理検査(パンチ生検)
皮膚の一部を切り取り、病理検査を行います。
皮膚型リンパ腫や先天性の病気、難治性の病気で行います。
初診時にこの検査を行うことはあまりありません。
ノミ・ダニ予防
皮膚の健康維持においてノミ・ダニ予防はとても重要です。
アトピーやアレルギーの子は特に皮膚のバリア機能が落ちているため重要です。
月1回のノミ・ダニ駆除は皮膚病の場合、必ず行ってください。
■→動物病院の予防薬を使用した場合
■→市販の予防薬を使用した場合
市販の製品は医薬部外品なので十分な効果が期待できません。
動物病院専用の医薬品をお使いください。
診療方針や設備について
培ってきた経験・磨かれた技術・最先端の知識で診療させて頂きます。常に最新の情報をもとに治療ができるよう、設備はもちろん、数多くの学会に出席し、研究と課題の確認をおこたりません。自らも研究課題をもち、活発な症例報告や研究発表を行い、獣医療発展と動物たちの幸せのため、日々努力しております。