金魚のエラ病 考えられる原因や症状、治療法と予防法

金魚の怖い病気に「エラ病」と通称される感染症があります。エラの機能が悪くなれば、金魚はエラ呼吸が困難になるため命にかかわります。初期段階で気づいて治療できるように、エラ病の知識を身につけましょう。

エラ病の原因

エラ病の原因

エラ病は「流行性のエラおよびエラ周囲の急性炎症」を起こす感染症の通称で、複数の感染症が知られています。ですから、「エラ病」という病気はありません。ヒトでいわれる「風邪」と近い通称です。

この「エラ病」を引き起こす原因として、もっとも多いと考えられるものが「カラムナリス菌」という細菌の感染です。ちなみに、カラムナリス菌は「エラ病」以外にも「尾ぐされ病」「口ぐされ病」を発症させる原因となる細菌で、この細菌が引き起こす病気を総称して「カラムナリス症」と呼びます。
このほか、以下の繊毛虫や寄生虫も、「エラ病」を発症させる病原体してとして扱われています。

●繊毛虫類のキドロネラの感染により起こる、エラやヒレまたは皮膚の原虫病「キドロネラ症」によるもの
●ダクチロギルス、ギロダクチルスという寄生虫によるもの
●トリコディナ、イクチオボドなど、他の寄生虫との混合寄生によるもの

エラ病の症状

エラ病の症状

「エラ病」は、エラの機能不全のための呼吸障害がおもな症状です。酸欠状態になり、酸素を求めて水面近くを漂う「鼻上げ」と呼ばれる行動がみられたり、金魚の活動性が低下し、底面でじっとしている様子が観察されます。

さらにエラの障害が進むと、エラや体表に異変がみられます。エラ蓋が腫れていき、赤黒く変色します。また、エラが腐ったように白くなるほか、エラが溶けたような状態になるなど、顕著に局所の異常が認められます。このような病態の表現として、エラ病は「エラぐされ病」とも呼ばれることがあります。呼吸が早まって、口呼吸している様子がみられ、エサを食べても吐き出してしまいます。

エラ病が末期状態になると、全体の体色が黒ずみ、目は落ちくぼんでしまいます。ほとんど静止状態となり、呼吸困難となって衰弱死してしまいます。原因がカラムナリス菌ではなく寄生虫の場合は、エラは粘液で覆われ、呼吸ができなくなって窒息死に至ります。

エラ病の治療方法

エラ病の治療方法

エラ病は1つの病原菌によるものではないため、治療には、確定診断が必要かもしれません。いずれにしても、細菌病や寄生虫病、真菌病、ウイルス病のどの病原体グループによるものなのかが、治療方法を左右することになります。

民間療法的には、塩水浴や薬浴が主流です。 
金魚に異常を確認したら、その金魚を他の水槽や容器に移して他の金魚と隔離します。
塩浴の場合は、食塩濃度0.5%の塩水浴槽(水1リットルに対して食塩5グラム)を作り、発症した金魚を入れてください。塩分濃度0.5%は浸透圧を利用した除菌・消毒効果を期待すると同時に、金魚の体内塩分濃度とほぼ同じのため、金魚のエネルギー消費を抑え、金魚自身の自己治癒能力を高める効果があるといわれています。

症状の改善がない場合は、塩分濃度を高めたり、薬剤を使用した薬浴を考えます。また、飼育環境に不備がないか、環境性のストレスは解消されているかなど、見落としがないかを考えることもとても重要です。
いずれにしても、獣医師や飼育員など、魚病に精通している人に相談して、飼育環境や飼育方法に問題がないかを確認してもらいましょう。そして、確定診断をふまえて、2%の高濃度塩浴や、過マンガン酸カリウム、ホルマリン薬浴、市販されているグリーンFゴールド顆粒やメチレンブルーなどによる薬浴を検討しましょう。

カラムナリス菌が原因のエラ病には、薬浴と塩水浴に加えて、うがい薬としておなじみのイソジン液を使う治療法もあります。金魚を手の平にのせて、イソジン液を2~3滴患部に落とします。10秒ほどそのままにしたのちに薬浴槽か塩水浴槽に戻します。あるいは、イソジン液を落とした水槽に5分ほど泳がせるイソジン浴の治療法も。この場合は10cm以下の金魚で水1ℓにつきイソジン液1滴、金魚10~15cmでイソジン液2滴とし、泳がせる時間を厳守してください。ただし、イソジン液は刺激が強く、逆効果になる場合があるので、使用する量にはくれぐれも注意してください。

最後に基本的なことでありますが、水温や水質管理は重要です。病気になるバックグラウンドを理解しましょう。水温20~23℃を目安として、ほぼ一定の水温を保つようにすることや、pHなどの水質を管理することが大前提であることを常に心に留めておきましょう。水温が一般的な至適温度である26℃を超えてしまうと、様々な病気の発症や体調不良の原因となります。また、至適pHを保つための、デジタルpH計装置などを設置することも大切です。

エラ病の予防方法

エラ病の予防方法

エラ病の原因となる病原体を水槽内で繁殖させないことが重要です。エサのやりすぎによる水質の悪化や、急激な水温の変化には十分気をつけてください。とくに梅雨時から初夏、秋口は菌が繁殖しやすい季節といわれています。この時期はとくに定期的な水替えと水槽の清掃を怠らないようにしましょう。
新魚導入の際に、 検疫期間と検疫スペースを設け、同じ水槽に入れないようにしましょう。金魚に異変がないかどうか、毎日注意深く観察してあげてください。

症状別事例

飼い主さまだけが気づいてあげられるペットの変化があります。 どこかいつもと違ったら、ご相談ください。ワンちゃん、ネコちゃんはもちろん、ハムスター、モルモット、フェレット、ハリネズミ、ウサギ、鳥、カメなど、当院では、幅広いエキゾチックアニマルの診療を行っています。